特別寄与料

令和元年7 月1 日以後に開
始する相続に係る相続税について適用

① 特別寄与者の課税関係
 特別寄与料は相続人以外
の親族から相続人に対して請求するものであ
り、被相続人から相続又は遺贈により取得し
た財産ではないものの、
・ 相続人と療養看護等をした親族との間の
協議又は家庭裁判所の審判により定まるこ
と、
・ 相続開始から1 年以内に請求しなければ
ならないこと、
・ 遺産額を限度とすること、

から被相続人の死亡と密接な関係を有し、経
済的には遺産の取得に近い性質を有します。
そのため、一連の相続の中で課税関係を処理
することが適当であると考えられます。また、
被相続人が相続人以外の者に対して財産を遺
贈した場合との課税のバランスをとる必要も
あります。そこで、特別寄与料に対しては、
(所得税や贈与税ではなく)相続税を課税す
ることとされました。
 上記のとおり、特別寄与料は相続又は遺贈
により取得するものではありません。一方、
相続税は相続又は遺贈により取得した財産に
課税するものなので、特別寄与料に相続税を
課税するために、相続税法上、相続人からの
特別寄与料の取得を被相続人から特別寄与者
に対する遺贈とみなすこととされました(相
法4 ②)。
 なお、特別寄与者の相続税の計算方法は、
相続人以外の者が遺贈により財産を取得した
場合と同様です。すなわち、法定相続人では
ないことから、基礎控除のうち法定相続人数
比例部分(600万円)の適用はなく、相続税
の総額を計算する際の法定相続分もありませ
ん。その後、受領した特別寄与料により相続
税の総額を按分し、特別寄与者の算出税額を
求めます。また、相続人ではないため、原則
として相続税額が2 割加算されます。これは、
特別寄与者が相続人でないという点で受遺者
(相続人を除きます。)と変わりなく、遺贈と
のバランスからも2 割加算の対象となるもの
です。
② 特別寄与料を支払った者の課税関係
 特別寄与料を支払った相続人については、
その支払いは被相続人の死亡に基因するもの
であり、遺産の中から支払うにせよ固有財産
から支払うにせよ、その支払った金額分は担
税力が減殺されることから、課税財産から減
額することが適当と考えられます。また、そ
うすることにより、相続人及び特別寄与者全
員の課税対象となる財産の合計が遺産総額に
一致します。
 具体的には、特別寄与者が支払いを受ける
べき特別寄与料の額がその特別寄与者に係る
課税価格に算入される場合には、その特別寄
与料を支払うべき相続人の課税価格は、相続
又は遺贈により取得した財産から特別寄与料
の額のうちその相続人が負担すべき金額を控
除した金額とされます(相法13④)。
 なお、上記の相続人が負担すべき金額は、
相続人が数人いる場合には、第900条から第
902条までの規定により算定した各相続人の
相続分を乗じた額を負担することとされてい
ます(民法1050⑤)。
③ 申告期限までに支払いが確定しなかった場

 特別寄与料について協議が調わないときは、
特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った
時から6 か月を経過したとき、又は相続開始
の時から1 年を経過したときまでに家庭裁判
所に処分を請求することとされており(民法
1050②)、その後、特別寄与料の支払いが確
定することになります。一方、相続税の申告
期限は相続の開始があったことを知った日の
翌日から起算して10か月以内であるため、具
体的な特別寄与料が決定されるのは、申告期
限後となる可能性があります。そのため、特
別寄与料を取得し、相続税法第4 条第2 項の
規定により新たに相続税の納税義務が生じる
者の申告期限は、特別寄与料の支払額が確定
したことを知った日の翌日から10か月以内と
する規定が設けられました(相法29①)。ま
た、申告期限までに特別寄与料以外の財産を
遺贈により取得し、申告を済ませている場合
も同様に、特別寄与料の支払額が確定したこ
とを知った日の翌日から10か月以内に修正申
告をしなければならない規定が設けられまし
た(相法31②)。
 他方、特別寄与料を支払うこととなった相
続人については、申告期限までに取得した財
産について既に申告を済ませている場合には、


特別寄与料の支払額が確定したことを知った
日の翌日から4 か月以内に更正の請求ができ
る規定が設けられました(相法32①七)。


⑶ 適用関係
 上記⑵の改正は、令和元年7 月1 日以後に開
始する相続に係る相続税について適用されます